しかし、↑そんなことを問われたところで、どう答えたらいいのだろう?
特別なことは何もない。平凡に、淡々と、自分らしく、今の状態を続けられれば、それが一番いい。それ以外に何を望むというのだろう。
入院中、私は10数冊の小説を読んだ。大半が、いつか読みたいと思っていた藤沢周平作品だった。手術前に読んだ1冊、「三屋清左衛門残日録」のなかの、最後の1編「早春の光」の一節より(p.436)。
--そうか、平八。
いよいよ歩く習練をはじめたか、と清左衛門は思った。
人間はそうあるべきなのだろう。衰えて死がおとずれるそのときは、おのれをそれまで生かしめたすべてのものに感謝をささげて生を終えればよい。しかしいよいよ死ぬるそのときまでは、人間はあたえられた命をいとおしみ、力を尽くして生き抜かねばならぬ、そのことを平八に教えてもらったと清左衛門は思っていた。
どういう人生を送りたいか。上記のように生きられたら、それにつきることはない。